iPadはプロジェクトマネージャーの役に立たない

この一年iPadを使ってきて、私の用途には向いていないと何度も感じさせられました。2020年の振り返りの一つとして、プロジェクトマネージャーにiPadは向いていないということをまとめていきます。

iPad/iOS自体の5つの問題

純正のキーボードにはescapeキーがありません。ダイアログのキャンセルなどにescキーを多用する私にとって、あるべきものがないというのは、ものすごくストレスに感じます。escキーを多用される方は、logicoolなどサードパーティーのキーボードを検討されるべきです。

外部モニタはミラーリング専用となります。複数のモニタに複数のアプリを表示させることができません。

プレゼンテーション中にslackやgmailの通知が表示されてしまいます。Windows10だと、外部にミラーリングで接続している際は全通知が自動的に非表示になりますが、iOSにはそのようなオプションはありません。手動で全通知を一時的にOFFにする設定も見つけることはできませんでした。プレビューをOFFにすることで内容の流出は免れますが、本当にプレゼンテーションに集中したい場合、あらかじめ個別のアプリの通知を切っておかねばなりません。また、プレゼンテーションが終わったら、slackの通知などの一刻も早く内容を確認する必要があるものについて、通知をONにせねばなりません。そんな面倒な切り替えを日々行う事はできません。iPhoneでは通知内容を表示、iPadでは通知をOFFにしてみました。そうすると、通知内容をiPhoneで確認し、長文で指示が必要な場合はiPadから返答したいのですが、iPadで通知が来ていないので返信元の連絡に辿り着くのが一苦労です。結局この問題には、機内モードで対応するしかないようです。PowerPointやGoogle SlideからPDFで書き出してiPad内に保存しておき、プレゼン時には機内モードにするのです。

ファイルという概念が浸透していないアプリが多いです。例えば、WordやPowerpoint自体のファイルではなくPDFで送信したいという事は多いと思います。幸いなことにマイクロソフト製品は、PDF書き出しができるので大丈夫ですが、純正の「ノート」アプリはPDFに書き出すことができません。テキストに書き出す事はできますが、箇条書きのインデントなどは全て無視されてしまいます。見えている状態をそのまま相手に送ることができないことに何度も悩まされました。

GoogleMeetやZoomでテレカン時に、純正の「ノート」アプリを二画面表示で利用すると、カメラがOFFになってしまいます。なぜこのような仕様になっているのか、理解に苦しみます。また、アプリをバックグラウンドに回してもカメラがOFFになってしまいます。話しながらサイトを見たり、別アプリの資料を確認するとカメラがOFFになってしまうというのは、いかにも隠し事をしているような印象を与えかねません。セキュリティ的には安全なのかもしれませんが、カメラがONなのかOFFなのかは、利用者に選択させてもいいのではないでしょうか。

iPad向けアプリが貧弱

Google Chromeはとにかくイライラさせられます。開発者ツールが使えないため、サイトについて何か少しでも調べようとすると、すぐに「作業ができない」という解決不可能な問題に当たってしまいます。Web屋にとって致命的です。PDFやExcelへのリンクが、ブラウザ内表示となるのも困ります。Excelを入れてあってもExcelで開くことができませんし、PDFもダウンロードしたいのにダウンロードさせてくれません。また、タブはありますがウィンドウという概念がないため、2つのウィンドウを並べて表示することもできません。2つのアプリなら並べられますが、Chromeを二つ起動することもできません。

Googleの他のアプリもiPad向けのUXが洗練されているとは言えません。Chromebookを使えということなのでしょう。Google Documentsのコメントは、画面に十分な領域が空いているにもかかわらず、コメントボタンを押さない限り確認できません。どの文章についたコメントなのかも視覚的に分からなくなっています。Google Spreadsheetは、マウスの対応がおかしいことがあり、セルを選択すると数式編集になってしまいセル自体を選択できないことがありました。Google Slideは、日本語を入力する際に、確定前にdeleteで消した文字が確定後もなぜか残っているため、真っ当に日本語で入力や編集ができません。

PowerPointは、他のiPadアプリと比べて善戦していると思いますが、プレゼンテーションモード時にレーザーポインター機能がついていないのが困ります。マウスの場所も表示されないことがあるため、画面上の一点を示すためには書き込み機能を使う必要があります。その結果、プレゼンが終わった頃にはプレゼン上は赤い線だらけになってしまいます。また、Shift+Returnで段落内改行ができないのも、プレゼンの箇条書きの見栄えを整える際に困ります。

iPadで仕事ができるようになるまでは、しばらくかかりそうです。それまでは、iPadを売却し、MacBook Airか小型のWindows10を持ち歩くしかなさそうです。